高校生&大学生による_三栄源エフ・エフ・アイ株式会社様への会社取材No.5

2023年07月01日(土)

棟朝遥香さん(市立札幌開成中等教育学校_6年生)

 こんにちは!高分子未来塾の高校生レポーターで、市立札幌開成中等教育学校6年の棟朝遥香です。前回の活動では食品添加物を取り扱っているユニテックフーズ株式会社を取材させていただきました。今回は多様な食品添加物や食品素材を取り扱い、美味しさを追求して日々研究開発されている、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社に取材させていただきました。



 みなさんは、美味しい食べ物を食べたいと思いませんか?では、その美味しさは何によって形作られているのでしょうか。
 とある研究結果(ツェスニャク,1963)によると、美味しさを形作る上で、実は食感が最も重要な要素であるそうです。そこで、今回は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社に食感についてのお話を伺いました!

⑴果肉食感ゼリー

 美味しくても高くてなかなか買えない果物を、いつでも気軽に食べたいと思いませんか?そんな願いを叶えてくれるのが、この果肉食感ゼリーです。

 果肉食感ゼリーとは、増粘多糖類を利用して果肉のような食感を再現したゼリーのことです。ペクチンやジェランガムといった増粘多糖類を加熱溶解し、そこにさらにCa溶液を加えることで、ペクチンの粒状ゲルが出来ます。そのあと冷やしてジェランガムをゲル化させることで、溶液全体がゲル化し粒の入ったゼリーができます。これはつまり、ペクチンが高温でもゲル化し、ジェランガムが低温でゲル化するという、それぞれの増粘多糖類のゲル化機構の違いを活かしています。


提供:三栄源エフ・エフ・アイ(株)

 ちなみに、なぜゲル化剤の役割を持つ増粘多糖類だけでなく、Ca溶液も入れるのでしょうか?それは、ペクチンのゲル化機構に由来しています。ペクチンは果物などの植物の細胞に入っている物質で、ジャムやゼリーを作るゲル化剤としてのペクチンはLMペクチンとHMペクチンの2種類あります。果肉食感ゼリーで用いられているのはLMペクチンのほうで、LMペクチンはCaイオンと架橋構造を作ることで三次元の網目を作りゲル化するのです。架橋とは、右の図のように、ペクチンの分子の鎖がCaによって橋をかけるように結合することです。


 このゼリーが果肉のような食感を呈します。多糖類の種類や添加量など、作り方をアレンジすることで、さまざまな果物の食感を作ることが出来るのです。
 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社がラフランス、メロン、マンゴー、の果肉食感ゼリーを送ってくださったので、試食してみました!



 まずは、ラフランスからいただきます。まずスプーンを差し込むと、透明な外側ゼリーの奥にラフランスの硬めの感覚を感じました。外側ゼリーの中に、ラフランスの果肉食感ゼリーが入っているようです。写真のようにスプーンで掬い上げると、まるでラフランスのような果肉食感ゼリーが!口に入れると、硬いけれどもサクッとしたラフランスそっくりの食感を味わえました。果肉食感ゼリーだと知らなければ本物だと勘違いしてしまいそうです。



 次にメロン、スプーンを差し込むと先程のラフランスよりもやや柔らかめなようです。食べてみると、ラフランスに比べ柔らかく、メロンの果肉のように、口に含んだとたんとろけていくようななめらかさがありました!



 最後にマンゴー、スプーンを入れた瞬間、滑らかなマンゴーの感触がありました。果肉食感ゼリーの表面を見ると、ラフランスやメロンよりザラザラ感が少なくつるっとしています。食べてみると、なめらかな食感にマンゴーの香りも相まって本物のマンゴーを味わっている気分でした。

⑵様々なゲル化剤

 それでは果肉食感ゼリー以外のゼリーはどんなゲル化剤が用いられているのでしょうか?三栄源エフ・エフ・アイ株式会社が紹介してくださった2種類のゲル化剤について解説していきたいと思います!

 まず一つ目は、脱アシル型ジェランガムについてです。下の図のような機構でゲル化するといわれています。まず熱水に溶かすと、分子が解けた状態であるランダムコイル状になります。次にそれを30〜40℃に冷却すると、二重螺旋を形成します。その後低pHにするか、カリウムイオンやカルシウムイオンなどの1価または2価のカチオン(陽イオン)を加えると立体網目構造を形成し、それによってゲル化します。


提供:三栄源エフ・エフ・アイ(株)
 
 ちなみに、脱アシル型ジェランガムの構成糖の一つであるD-グルクロン酸にはカルボキシ基という部位(官能基)があり、カルボキシル基間の電気的(マイナスどうしの)反発がゲル化を阻む原因となっています。そこで、pHを低下させカルボキシ基の解離を抑制するか、1価のカチオンでカルボキシ基の電荷(帯びている電気)を中和するか、2価のカチオンでカルボキシ基の間をLMペクチンのゲル化におけるCa溶液のように架橋するかして、二重螺旋どうしをくっつけるのです。つまり、pHの低下、1価のカチオンまたは2価のカチオンの添加は、それぞれ方法は違えども、ゲル化に貢献していると言えます。


提供:三栄源エフ・エフ・アイ(株)

 二つ目は、2種類の多糖類(キサンタンガムとローカストビーンガム)の併用によって得られるゲルについてです。キサンタンガム、ローカストビーンガムともそれぞれ単独ではゲル化しませんが、2つを組み合わせて使うとゲル化するという、とてもユニークな挙動を示します。この現象は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社が過去に発見したものであり、今でもこの効果を利用した製品開発が行われています!
 下のグラフの通り、2種類の多糖類を1対1くらいの割合で添加すると最も強いゲルになります。またシート状に作成すると、写真のように引っ張っても切れないゲルになります。このゲルはローカストビーンガムとキサンタンガムが会合(くっついて一つの分子のようになること)することで立体的な網目構造を作っています。


提供:三栄源エフ・エフ・アイ(株)


提供:三栄源エフ・エフ・アイ(株)


提供:三栄源エフ・エフ・アイ(株)

 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社が紹介した2種類のゲルも送ってくださったので、見てみようと思います!

 まず脱アシル型ジェランガムから、スプーンを入れてみると硬めですぐに切れる感じがしました。あまり柔らかさはないようです。スプーンで持ち上げると、断面に細かく凹凸がありました。また離水しやすいのか、容器の縁に水がありました。食べてみると、噛んだとたんに崩れていく感触がありました。

 

 次にキサンタンガムとローカストビーンガムのゲルにスプーンを入れてみると、先程よりもちもちしているようで、柔らかな感触がありました。スプーンですくうと断面は先程と対照的になめらかで、離水の様子も全くありませんでした。食べてみると、舌で押したら潰れ、なめらかな食感でした。

  

⑶新たな食感測定法「フィルム式多点圧力センサー」

 ゲル化剤から様々な食感を作れることが分かりましたが、実際の製品開発の場面では食感をどのように評価するのでしょうか。食感を測る方法には主に2種類あり、人が食べてアンケートに答える官能評価と機械を利用して物理的な観点から測る方法があります。

 今回紹介するフィルム式多点センサーは三栄源エフ・エフ・アイ株式会社と大阪大学が共同で新たに開発した食感の評価方法です。この方法は、従来の方法に比べより様々な食感の要素を測ることができる革新的な方法です!それを説明するために、まずは従来の食感の測定で行われている方法を紹介しようと思います。

 物理的に食感を評価する方法の一つに、一軸圧縮試験があります。これはテクスチャーアナライザーという機械を用いて食品を上から圧縮し、そのときの力と変形の変化を測る方法です。テクスチャーアナライザーには力を感知する部分があり、その力の数値をグラフに表すことで、食べ物を噛んだ時の力のかかり方を調査することができます。
 一方、官能評価は、何人かに調査したい食品を食べてもらい、アンケートを実施し、その結果を統計的に処理することで食感を測る方法です。実際に食べるので、私たちの感覚を直接的に反映させることができます。


提供:三栄源エフ・エフ・アイ(株)
 
 物理的な評価と人の感覚で測る官能評価、これらの評価はそれぞれ異なる観点から食感を測る方法ですが、それゆえにその2つの方法の結果にズレが生じることがあります。また食感には硬さや弾力に加え付着性や滑らかさなど多様な要素がありますが、一軸圧縮試験では硬さと弾力など食品の全体構造に関係する食感要素は測定できますが、付着性や滑らかさなど食品の表面特性に関係する食感は測定が難しいとされています。

 フィルム式多点圧力センサーの魅力は、これまで測れなかった食感の要素を測れる可能性があることです。
 この方法では一軸圧縮試験のように食品を上から押すだけでなく、フィルム式多点圧力センサーによって圧力の分布の様子を測ることができます。そうすることで、写真に示されたような圧力分布からゲルの破壊の様子を分析し、食品の表面の様子やつるつる感・もちもち感・ざらざら感・ねっとり感といった多様な食感を測ることができます。


提供:三栄源エフ・エフ・アイ(株)


※赤色が高圧力、青色が低圧力
提供:三栄源エフ・エフ・アイ(株)

 ここまで食感に関わる研究開発の紹介になりましたが、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社は食感だけでなく、食品の色・香り・味・機能・健康を主軸とした多様な観点から日々研究開発されています。またそれらの研究分野を組み合わせることで植物原料を用いた代替食品や介護食などに関連した技術開発もされています。
 私は今まで興味がある食感について調べたり研究したりしていましたが、社会へ向けて価値のある食品を送り届けるには、食感だけでなく様々な要素の研究開発を組み合わせて行うことが大切だと気付かされました。また食感を測るための試験方法は客観的かつ定量的である反面、測れない食感の要素があります。従来では測れなかった食感を測定するための研究を三栄源エフ・エフ・アイ株式会社が行っていると知り、測定法を改善することも新たな食品の価値を生み出す上で意義のあることだと知ることができました。

 さらに三栄源エフ・エフ・アイ株式会社について知りたいという方は、ぜひ
三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の公式ホームページ:
https://www.saneigenffi.co.jp
を覗いてみてください。
 最後に、取材を受けてくださった三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の皆さま、取材をサポートしてくださった野々山先生、中島さん、大変貴重な機会をありがとうございました。

☆快く取材に応じてくださった、太田様、池上様、平井様、近藤様に心より感謝申し上げます☆
 
取材先:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
取材日:2023年5月8日(月)
 

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