2022年06月01日(水)
棟朝遥香さん(市立札幌開成中等教育学校_5年生)
こんにちは!高分子未来塾の高校生レポーターで、市立札幌開成中等教育学校5年の棟朝遥香です。皆さんは、食品のパッケージの裏にある原材料名を読んでみたことはありますか?
そのなかでも、スラッシュ以下に記載されている食品添加物の名前を読んでみたことはありますか?
私が4月6日に高校生レポーターとして取材させていただいたユニテックフーズさんは、市場に出回っている多くの食品に含まれている食品添加物を販売されている企業です。
ここでは、ユニテックフーズさんが取り扱っている食品添加物について、いくつか紹介します!

⑴ペクチン
ペクチンは、ゲル化や増粘(粘度を変え、食感を変えること)、品質の安定のために添加する食品添加物である増粘多糖類のひとつです。
リンゴや柑橘類などの果物から作られます。食品添加物として取り扱われているペクチンには以下の2種類あります。
①LMペクチン
ゲル化剤、増粘剤として利用されます。
カルシウムの存在下でゲル化し、食品にカルシウムがどのくらい含まれているかによって特性が変化します。
また、食品中のカルシウムとの反応を利用しているため、乳製品やゼリー、ジャムなどに利用されています。
②HMペクチン
ゲル化剤、増粘剤、安定剤として利用されます。
LMペクチンと異なり、高糖度・低pHでゲル化するため、ジャムや菓子ゼリーに利用されています。

実はこれらのペクチン以外にも、ユニテックフーズさんが独自に取り扱っているペクチンがあります。
③QSペクチン
通常、ペクチンは80~90℃の熱水で10分間の攪拌が必要なのですが、このQSペクチンは15℃の冷水でたったの1分で100%溶解します!
そのため、ペクチンは溶解タンクが必要なところを、その設備がない企業やレストランでも、QSペクチンを利用し、デザートやジャムを簡単に作ることができます。
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⑵白キクラゲ抽出物 トレメルガム
白キクラゲ抽出物(トレメルガム)とは、冷凍した食品の劣化を防ぐ食品素材です。
(食品添加物には含まれないので、スラッシュの左側に記載されます。)
キノコの一種であるシロキクラゲを抽出して作られます。
これを食品用途で取り扱っているのは、日本でユニテックフーズさんのみだそうです。
それでは、白キクラゲ抽出物は、どのようにして劣化を防ぐのでしょうか?
多くの食品は、冷凍・解凍を繰り返すと、離水と言って水が出てきてしまいます。
しかし、このような食品に白キクラゲ抽出物を添加することによって、図の食品のように離水を防ぐことができるのです。

⑶メチルセルロース(MC)
メチルセルロースは、増粘剤・ゲル化剤として利用されている増粘多糖類の一種です。
木のパルプから抽出され、作られます。
ここでは、メチルセルロースの利用の一例の説明を通して、その特徴を紹介します。
まず、下の写真を見てください。
コロッケをフライすると、その多くが具のパンクにより、見た目が損なわれま す。
しかしメチルセルロース(MC)を添加したコロッケはすべてパンクしていません。なぜなのでしょうか?

次に、下のイラストを見てください。
左側の黄色い物体がメチルセルロース、右側が具にメチルセルロースを添加したコロッケです。

状態①は常温で、メチルセルロースも、焼く前のコロッケのメチルセルロースが添加された具も、ドロドロの状態です。
それが状態②になると熱ゲル化します。
メチルセルロースは加熱するとゲルになるのです。
そのため、添加された具に含まれているメチルセルロースの熱ゲル化により固まって、パンクしません。
状態③で、加熱された状態②からもとの温度に戻ると、可逆性によってメチルセルロースはドロドロに戻ります。
同じように、具もとろとろの状態になって、食べた時には美味しい具を味わうことができるのです。
さらにユニテックフーズさんの取り扱っているものについて知りたいという方は、ぜひユニテックフーズさんの公式ホームページの食品開発ラボ(https://shokulab.unitecfoods.co.jp/)を覗いてみてください。
最後に、取材を受けてくださったユニテックフーズの皆さま、取材をサポートしてくださった野々山先生、中島さん、渡邊さん、ありがとうございました。