高校生&大学生による_株式会社パイロットコーポレーション様への会社取材No.19

2025年08月08日(金)

池田旅人さん(北海道札幌啓成高等学校_2年生)

消せるボールペン「フリクション」は、ベースの技術となるメタモインキが50年前に開発され、製品化まで30年もかかった。
パイロットの研究者が一夜で色が変化する紅葉から着想を得て、1975年に温度変化で色が変化するメタモインキの開発に成功した。
このメタモインキはロス五輪の入場チケットの偽造防止などにも応用された。
2002年には技術を筆記具に応用し、筆跡をこすると摩擦熱により黒から青や赤の色に変わるボールペン「イリュージョン」が発売された。
その商品からヒントを得た、フランスにあるグループ会社のマーケティング担当者が「温度で有色を透明にして消せるボールペンをつくれないか」と提案。「フリクション」開発が始まった。
 パイロットインキの梅本さんは「生活環境の温度変化で色が変わらないように温度変化の幅を広くすること、ペン先のような小さな隙間からインキを出すためには、インキを小さな粒子にすることが開発のポイント」と語る。
フリクションインキはマイクロカプセルが色素の役割を果たしていて、中には色を決める発色剤、発色させる成分、変色温度調整剤が含まれている。



常温では発色剤と発色させる成分がむすびついているが、60度以上の熱が加わると発色させる成分と変色温度調整剤が結びつき、色が消える。
マイクロカプセルの大きさは2〜3ミクロンで、髪の毛の40分の1ほどの大きさだ。
この大きさが大きすぎるとペン先からインキが出なくなってしまい、筆記不良につながる。
消した色が生活環境温度で再び発色しないためにマイナス20度を下回らない限り色が戻らないようになっている。
 「フリクション」は2006年にヨーロッパで、翌2007年には日本で販売され、現在は世界で累計47億本(2024年末現在)売れる大人気商品となっている。


 
取材先:株式会社パイロットコーポレーション
取材日:2025年8月8日(金)
 

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