2025年04月01日(火)
桜庭里緒さん(遺愛女子高等学校_3年生)
医療の進化が進む中、「人工臓器」という言葉を聞いたことがある人も多いだろう。私はその人工臓器に高分子の技術が使われていると知り興味を持った。
今回は医療機器大手・ニプロ株式会社が開発、提供している人工臓器について取材を行い、どのような技術が私たちの健康を支えているのか調べてみた。
人工臓器とは
機能が低下してしまった臓器の代わりをする機械や装置のこと。完全な臓器の代替では無いが、臓器不全の患者さんの命を繋ぐ大切な存在として重要視されている。
人工肺について
人工肺は血液中に酸素を取り込み、血液中から二酸化炭素を排出するガス交換の役割を担う。人工肺の中に1ミクロンよりもかなり小さな多孔層をもった中空糸膜を入れ、血液を流してガス交換を行う。
中空糸膜の中には酸素ガスが流れており、中空糸膜は肺胞と同じ役割を果たす。
人工肺は効率的にガス交換が行えるため、生体の肺よりも表面積が小さくて済む。
酸素の濃度は患者さんの体格などによってそれぞれ微調整が行われている。
下図のように中空糸膜はストロー状になっており、その壁に開いている微細孔から酸素を血液中に放出し血中の二酸化炭素を中空糸膜の中に取り込む事でガス交換を行っている。
.png)
提供:ニプロ株式会社
ニプロ株式会社では血液適合性を高めるための医療機器のコーティングにもこだわっている。
この過程でも化学合成のポリマーが使われている。
.jpg)
提供:ニプロ株式会社
人工腎臓について
腎臓の機能を代替する人工透析装置。慢性腎不全の患者にとって、体内の老廃物を取り除く透析は命をつなぐ手段である。
ニプロ株式会社はこの分野で世界的な技術力を持ち、患者さんの負担を減らすため高効率化に取り組んでいる。
人工心臓について
人工心臓には、心臓の働きを一部補う「補助型」と、完全に代替する「全置換型」がある。現在、日本国内で多く使われているのは補助型で、心不全などで自分の心臓が十分に血液を送り出せない人に装着される。
ニプロ株式会社はこの補助人工心臓の製造や、周辺機器の開発に深く関わっている。
血栓(血のかたまり)形成のリスクを抑えるため、血液流路の表面処理にも高度な技術が使われている。
また、装置の小型化・軽量化も進められており、人工心臓は日々進化している。
取材を通して
今回取材を引き受けてくださったニプロ株式会社さんは日本の医療を支えるすごい企業だと改めて思えた。開発に関わっている皆さんの説明を聞けたことはとてもいい経験になった。
どの製品も「できるだけ長くの時間、安全に患者さんの人生を人工臓器で支えたい」というニプロさんの思いが詰まった努力の賜物だと感じた。

取材に応じてくださった皆さまに、感謝申し上げます。
取材先:ニプロ株式会社
取材日:2025年4月1日(火)
取材日:2025年4月1日(火)