高校生&大学生による_東京文化財研究所様への会社取材No.12

2025年03月24日(月)

菊川かれんさん(遺愛女子高等学校_2年生)

取材させていただいた東京文化財研究所について紹介させていただきます。
東京部文化財研究所様(以下、東京文化財研究所)では、無形有形に関わらず、また研究から記録(映像)、ヒアリングなど幅広い手段で文化財の保全、現地調査を行っています。
取材の中ではノリウツギについての研究、現状について教えていただきました。
ノリウツギとは、掛軸に使われる和紙の宇陀紙の原材料の一つです。
 
  
      写真 ノリウツギ              写真 ノリウツギ
提供:東京文化財研究所 早川典子 博士

ノリウツギの特徴に、内皮を加工し叩いていくと粘り気が出るというものがあります。
このノリウツギを宇陀紙の手漉きの工程の際、楮(こうぞ)の繊維と一緒に漉き舟
に入れて紙を漉くことによって、水全体がとろみを帯びて、和紙に厚みが出ることに繋がる重要な材料となっています。
ノリウツギのとろみ成分にも高分子がかかわっており、今も研究が続けられています。
ノリウツギについての課題については、保存方法と供給があげられています。
保存方法について、従来はホルマリン溶液を用いての保存でしたが、冷凍保存を試みたりなどまだまだ試行錯誤があるそうです。供給について、少子高齢化の影響も受け、生産者が居なくなってしまうという問題も浮き上がりました。そこで北海道にある標津町というノリウツギの生息地域との協力も行っているそうです。
このように、文化財の保全、保護には、いろいろな機械や分析機器を使用しての研究だけでなく、地域や他の機関との協力も必要不可欠であることが分かりました。
また、海外の文化財の研究も行っているとお話を伺いました。海外の研究所や機関と協力し研究を進めていくことによって、国と国の関係性の構築にも関わっていました。
今回の取材を通して、文化財保護と高分子の関連性だけでなく、少子高齢化や生産者の減少による影響の現状も知ることが出来ました。



取材に応じてくださった東京文化財研究所の方々、つないでくださった野々山先生や、中島さん、ありがとうございました。
 
取材先:独立行政法人国立文化財機構
    東京文化財研究所
    保存科学研究センター
取材日:2025年3月24日(月)
 

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