2025年08月06日(水)
北村美結さん(遺愛女子高等学校_2年生)
こんにちは!遺愛女子高等学校2年の北村美結です。みなさんは音楽が好きですか?
ピアノやギターを弾くのが好きな人もきっといると思います。
今回私はヤマハ株式会社さんに取材をさせていただき、アコースティックギターの秘密に迫りました。
ヤマハ株式会社とは
1887年に創業した世界最大の総合楽器メーカーです。ピアノ、ギター、管弦楽器、電子楽器さらに音響事業にも取り組んでいるメーカーで世界最大規模とも言われています。
ピアノに限らずさまざまな楽器の製造を手がけていますが、ギターの生産は1960年代に始まったそうです。
なんと、ゴルフ事業や自動車の内装に使われるインテリアなどの製品も作っていて 、楽器だけではないのです。
実は戦時中に、木工加工の技術を活かし、木製のプロペラを生産していた経緯から、オートバイ事業(現在のヤマハ発動機株式会社)も展開していました 。
元々は小学校のオルガンを修理したことが、創業のきっかけのようです。
その修理したオルガンを研究し、自分たちでオルガンを製造し、その後ピアノの製造を開始し、工場が拡大していたそうです 。

山葉寅楠が修理したオルガンと同型のオルガン(出典:ヤマハ(株))
豆知識
ピアノ製造の木工技術を利用して机や椅子などの家具も生産していました 。貴族院(現・参議院)の議長席などもヤマハ製のようです?!

山葉文化椅子セット
(出典:YAMAHA HPイノベーションロード)
ギターの秘密
ギターに使われる弦は、鉄の弦が使われる前は羊の腸を使っていました。海外のギターメーカーが音を大きくしたいということから鉄の弦を使う今のギターが考えられたそうです。
今のクラシックギターは樹脂製のナイロンで、より豊かな音を求めて胴体が厚くなる傾向がありました。
容積や塗料によって音が変わるので、今はきちんと胴厚が定まっています。
高級モデルになるとラッカーと言われる天然の素材を使った塗装をしますが、ラッカ ーは扱いが大変とのことです 。
中級~普及モデルになると樹脂製のウレタン塗装が主流になっています。
環境の変化により強くなりますが、音は天然のラッカーを薄く塗るの方が良いと言われています 。
弦を支え、振動をボディに伝える重要な役割を持つサドルはかつては象牙が使われており、現在は牛の骨やプラスチックが使われています。
作りや部品の素材を大きく変えてしまうと音に違和感が出てしまうため、新しい素材 をテストする場合は少しずつずらすぐらいの距離感が常に求められているそうで す 。
アコースティックギターは約8割は木材が使われています 。
表板にはスプルース材、シダー(杉)が使われます。
裏板や側板はマホガニーやローズウッドが使われることが多いです。
これらの木材 は昔から使われています。
側板の加工は熱や水蒸気をかけ、ゆっくり曲げて形を形成します。そして、側板を木 枠にはめ込んで固めていきます。
表板には響棒を取り付け表板と裏板で側板をサンドウィッチしてボディをつくります。
ネックは釘などを使わないアリ接合という加工を使うことがあります。
近年はネジで固定する製品もあるようです 。
塗装はなるべく薄く施しています。

左:表板に響棒を接着, 右:表板・裏板・側板を接着する前の様子
(出典:YAMAHA楽器解体全書)
A . R . E 技術
「A.R.E」は、バイオリンやギターなどに使われている技術で、Acoustic Resonance Enhancementの略です。温度、湿度、気圧を高精度にコントロールすることによって新しい木材の経年変化 をさせ、短期間で熟成されたようにする技術になります。
落ち着いた音や暖かみのある音がギターから奏でられます。
全ての木材に適しているわけではなく、どの木材に対し、この技術を使うのかもポイ ントです。
https://www.yamaha.com/ja/tech-design/research/technologies/are/
木材改質技術 A.R.E.(出典:YAMAHA Japan)
再生可能な工夫
ヤマハ株式会社として植林に取り組んでいて、地球にやさしいサステナブルな製品づくりが行われています。ギターでの取り組みも進んできているそうです。
木材は天然資源なため、どうしてもバラツキが出てしまいます。
昔は品質ではねられた木材も今は個性として受け入れていきたい。
その個性を出した木材を、積極的に使っていこうということで、ギター以外のピアノやマリンバの木材を使用したギターの開発も進めているようです 。
今ある材料も上手く使って受け入れる。
そのようにギター業界が変わってきています。
おわりに
私はギターに興味がありましたが、細部まではあまり知りませんでした。ヤマハさんへの取 材を通して、ヤマハさんの歴史やアコースティックギターでのた くさんの工夫、環境へ配慮した新たな工夫などたくさんの魅力を知ることができまし た 。
今回は、このような新しいことを学ぶ貴重な機会をいただき、本当にありがとうござ いました!
取材先:ヤマハ株式会社
取材日:2025年8月6日(水)
取材日:2025年8月6日(水)