報告

第33回ポリマー材料フォーラム(33PMF)報告

33PMF 運営委員長 小林 久人

 第33回ポリマー材料フォーラム(PMF)が京都市勧業館「みやこめっせ」にて、2024年11月14日(木)から11月15日(金)の2日間にわたり開催されました。関西での対面形式の開催は2017年の第26回以来となります。第30回も関西支部が担当しましたが、この回はCOVID-19(新型コロナ感染症)対応の為、オンライン形式の開催でした。

 今回の参加人数は859名を数えております。先ずはご参加いただいた各界の皆様、開催にご尽力いただきました関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

 さて、今回のPMFの主題は「変幻自在:PX-ポリマートランスフォーメーション」としました。DXやGX等、○○Xという言葉が増えてきておりますが、何れについても、デジタル技術の活用を通じて、あるいは脱炭素社会を目指す取り組みを通じて、社会や経済のシステムを変革させることを指す、と理解しております。このように様々な観点で社会変革を進めようとする取組が進められているところですが、国内外を取り巻く様々な情勢も踏まえ、私ども高分子に関わる研究開発者の果たすべき役割もますます重要となってきていると考えております。今こそ、高分子に関わる各界の関係者がよりベクトルを合わせて、技術イノベーションの創出による社会の変革をリードしていくべき時期ではないでしょか。

 一方で、本ポリマー材料フォーラムは、産学協同を目途とした材料に関する研究発表の交流のためのシンポジウムであり、高分子材料の応用に関する最先端の情報が得られるとともに、他分野のユーザーの方々との交流や大学・研究機関の方々との議論もできる非常に貴重な機会であると考えています。

 以上のような観点を踏まえ、本年も四つのセッションで構成し、実施しました。ポスター会場では、Aセッション「ライフサイエンス・環境材料」54件、Bセッション「電気・光・情報・エネルギー関連分野」27件、Cセッション「高性能・高機能材料」58件、Dセッション「ポリマー材料の設計・合成・加工・解析」53件の合計192件のポスター発表が行われました。また、講演会場では各セッション8件ずつ、計32件の招待講演が実施されました。大学や研究機関のみならず、企業からも多数の発表があり、各ポスター発表や招待講演会場で活発な質疑が交わされました。

 ポスター発表については、厳正な審査が実施され、合計17件の優秀ポスター賞が選出されました。今回のPMFポスター賞受賞者は「高分子」2025年2月号にて発表されるほか、次回の第74回高分子学会年次大会にて高分子学会長より表彰され、楯が授与される予定となっています。審査の詳細については審査委員長からの報告記事をご参照ください。

 以上の発表に加えて、昨今のPMFでも好評であった特別企画も実施しました。企業の研究開発を紹介する学生向けの「キャリアブース」14件、大学研究室の研究内容を紹介する「大学研究室紹介ブース」18件、「機器・製品展示ブース」27件、さらには第73回高分子学会年次大会での「優秀ポスター賞受賞者研究紹介」30件の発表も行いました。また、1日目の夕方には昨年も好評であったイブニングフォーラムを開催しまし、250名もの方々のご参加いただきました。十分な数量の軽食を準備できなかった点は申し訳ございませんでしたが、会場のあちこちで活発な意見交換や議論が交わされ、運営サイドとしましても大変うれしく感じました。

 冒頭に述べましたように、本フォーラムの最終的な参加者は合計859名にのぼりました。会期2日間を通して、ご参加いただいた皆様には、充実したご議論をお進めいただいたと存じます。今回のPMFを通じて得られた情報が皆様方のご研究や開発業務の進展につながること、また産学協同の契機となることを祈念しております。

 以上のように今回のPMFは大きなトラブルもなく、盛況のうちに終了することができました。大変興味深い講演やポスター発表を実施いただいた皆様、特別企画(キャリアブース、大学研究室紹介ブース、機器・製品展示ブース、年次大会優秀ポスター賞受賞者研究紹介ブース)へご出展いただいた皆様、さらには活発なご議論を進めていただいた参加者の方々に御礼申し上げます。また、33PMF運営委員の皆様やご関係者、高分子学会事務局の方々には、企画・会場準備等から当日の運営まできめの細かいご対応を賜りました。改めて心より御礼申し上げます。

 来年度は東海支部の担当により開催されます。一方で来年度から年次大会はオンライン開催となります。対面形式で実施される本ポリマー材料フォーラムの特徴を生かし、ポリマー材料に関する産学交流がますます進展するよう、皆様のご参加とご協力を引き続き賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。