第33回ポリマー材料フォーラム優秀発表賞選考報告
33PMF 運営委員 保井 淳
高分子学会の主なイベントのひとつである第33回ポリマー材料フォーラムが、「変幻自在:PX-ポリマートランスフォーメーション」の主題のもとに11月14日、11月15日の2日間にわたり開催されました。今年は京都の「みやこめっせ」にて、過去最多となる859名の参加者の中192件のポスター研究発表があり、盛況に終えることができました。本紙面をお借りして、大学や研究機関、企業等からご参加頂きました皆様に深く感謝申し上げます。また、開催にあたってご尽力を頂きました運営スタッフの皆様、ご協力頂いた学生の皆様、審査団員の皆様に深く感謝申し上げます。
当日のポスター研究発表は、テーマ別に4つのセッション(Aセッション:ライフサイエンス・環境材料、Bセッション:電気・光・情報・エネルギー関連分野、Cセッション:高性能・高機能材料、Dセッション:ポリマー材料の設計・合成・加工・解析)に分かれ実施し、その中で、発表者による発表及び審査員との質疑応答を実施して、下記の基準及び方法にて各セッションから優秀発表としてポスター賞を選考させて頂きました。
【審査対象】
全192件のポスター研究発表の中で、選考希望のあった発表。
【審査員】
セッションごとに運営委員で構成した審査員。
【選考基準】
- 発表内容:新しい材料および技術としての可能性を見いだした、あるいは予見させる高分子材料および関連技術であるか。
- プレゼンテーション:質疑に対して適切な応答、 高度なディスカッションができるか。
- ポスターの論理性・ビジュアル性:一見して発表の内容が理解できるような構成、ならび に人を引き付ける特徴的・魅力的なポスターであるか。
【審査経緯】
ポスター発表終了後、セッションごとに審査、採点された結果を集計した上、協議により受賞候補者を選定。次に、 ポリマー材料フォーラム運営委員長、副運営委員長、選考委員会委員長、各セッショ ン審査団長からなる優秀発表選考委員会にて、それぞれのセッションから提出された優秀な候補者を厳正に審議し、ポスター賞を選定。
今回、優秀発表として17件のポスター賞を選考させていただきました。受賞された皆様には心よりお祝い申し上げます。上記の選考基準を十分で満たし、かつ、極めて印象に残る内容でした。
今年の受賞者の皆様をはじめとするポスター発表を通じて、化学反応、高分子の特徴を活かし、今回の主題であるPX(ポリマートランスフォーメーション)を実感できる発表が数多くあり、DX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランフォーメーション)に同様、大きな社会貢献が期待できる分野であることを感じることができました。また、ポスター発表の場はもちろん、会場のいたるところで議論が交わされている様子を見ることができ、改めてポリマー材料フォーラムが高分子分野における産官学、世代を越えた素晴らしい人材交流の場であることを認識しました。今回を機に新たな研究や新たな協業が始まるとなれば関係者として大変喜ばしい限りです。最後に、次回のポリマー材料フォーラムでも、より多くの皆様とお会いできること、興味深い発表テーマに出会えることを心より楽しみにしております。また、この歴史あるポリマー材料フォーラムがより多くの皆様とってより一層有意義な場になることを期待してポスター賞選考報告とさせていただきます。
優秀発表受賞者
Aセッション
- ポリエチレンサクシネートを基軸とする海洋生分解性かつ高バリア性プラスチックの開発と応用
- 木質由来キシロースと乳酸を用いた高靭性バイオマスポリエステルの開発
- 金属酸化物を用いた低温熱分解によるFRPの繊維リサイクル
- セルロース分解物からの環境低負荷なポリマー材料の合成開発
- リン酸化セルロースナノファイバーを基材とする新規プロトン伝導性電解質膜
Bセッション
- 低誘電性を有する長波長透過性樹脂の特性評価
- 低損失熱硬化接着フィルムの開発と接着特性
Cセッション
- 重レアアースのリサイクルを目的とした新規吸着剤の開発
- 濃厚ポリマーブラシを適用したシールの潤滑特性と接触状態評価
- 動的共有結合を有する循環型複合材料の開発と社会実装に向けた材料検証
- 軸分子量の異なるポリロタキサンエラストマーの物性及び機能性検討
- スチレンスルホン酸アンモニウム(AmSS)の物性と用途
Dセッション
- シクロペンテン誘導体の開環メタセシス重合によるフルオレン含有ポリオレフィンの合成と物性
- 高溶融張力を有するトリメシン酸共重合MXナイロンの開発
- ナノ粒子複合ポリエステル
- 硫黄含有ポリマーの硫黄数による物性への影響とそのリサイクル特性
- FP-2xxxを用いたガラス繊維強化ポリプロピレンの難燃化