第34回ポリマー材料フォーラム優秀発表賞選考報告
34PMF運営委員 矢次 豊
高分子学会の主なイベントのひとつである第34回ポリマー材料フォーラムが、「シン・PMF:未来を拓く高分子科学」の主題のもとに12月4日、12月5日の2日間にわたり開催されました。今年は愛知の「ウインクあいち」にて、過去2番目となる887名の参加者の中209件のポスター研究発表があり、盛況に終えることができました。本紙面をお借りして、大学や研究機関、企業等からご参加頂きました皆様に深く感謝申し上げます。また、開催にあたってご尽力を頂きました運営スタッフの皆様、ご協力頂いた学生の皆様、審査団員の皆様に深く感謝申し上げます。
当日のポスター研究発表は、テーマ別に4つのセッション(Aセッション:ライフサイエンス・環境材料、Bセッション:電気・光・情報・エネルギー関連分野、Cセッション:高性能・高機能材料、Dセッション:ポリマー材料の設計・合成・加工・解析)に分かれて実施し、その中で、発表者による発表及び審査員との質疑応答により、下記の基準及び方法にて各セッションから優秀発表としてポスター賞を選考致しました。
【審査対象】
全209件のポスター研究発表の中で、選考希望のあった発表。
【審査員】
セッションごとに運営委員で構成した審査員。
【選考基準】
- 発表内容:
新しい材料および技術としての可能性を見いだした、あるいは予見させる高分子材料および関連技術であるか。 - プレゼンテーション:
質疑に対して適切な応答、 高度なディスカッションができるか。 - ポスターの論理性・ビジュアル性:
一見して発表の内容が理解できるような構成、ならび に人を引き付ける特徴的・魅力的なポスターであるか。
【審査経緯】
ポスター発表終了後、セッションごとに審査、採点された結果を集計した上、協議により受賞候補者を選定。次に、 ポリマー材料フォーラム運営委員長、副運営委員長、選考委員会委員長、各セッショ ン審査団長からなる優秀発表選考委員会にて、それぞれのセッションから提出された優秀な候補者を厳正に審議し、ポスター賞を選定。
今回、優秀発表として17件のポスター賞を選考致しました。受賞された皆様には心よりお祝い申し上げます。いずれの発表も新規性、論理性に加え、質疑応答での深い知見と柔軟な対応力が印象的でした。
今年の受賞者の皆様をはじめとするポスター発表では、バイオマス原料、リサイクル技術、生分解材料などのカーボンニュートラル関連や半導体分野といった、社会課題に直結するテーマが多く、産官学の垣根を越えた議論が活発に行われていました。また、基礎研究から産業応用への気づきも多く、ポリマー材料フォーラムが交流の場として果たす重要性を改めて認識しました。急速なAIの進化により研究の進め方は変わっても、多様な分野の人材が直接議論できる場はブレークスルー創出に不可欠です。今回を機に「未来を拓く」研究や協業がさらに進展すると確信しております。
最後に、次回のポリマー材料フォーラムでも、より多くの皆様とお会いできること、興味深い発表テーマに出会えることを心より楽しみにしております。また、この歴史あるポリマー材料フォーラムがより多くの皆様とってより一層有意義な場になることを期待してポスター賞選考報告とさせていただきます。
優秀発表賞受賞者
Aセッション
- ポリ乳酸の強度と分解性を両立する添加剤の反応メカニズム解析
(日立)坪内 繁貴 - 植物由来成分を原料とした高耐熱ポリマーの合成
(ダイキン)丸橋 卓磨 - 難生分解性ナイロン6、ナイロン66を主成分とする釣糸の海洋生分解性の発見
(東大院新領域)安藤 翔太 - ナイロン系複合材料の低温リサイクル技術
(物材機構)タンクス ジョナサン
Bセッション
- アクセプター比率を変えた三元系有機薄膜太陽電池の作製
(名工大院工)小島 ひまわり - メタルフリー硫黄系ポリマーを基盤とした世界最軽量二次電池およびオールポリマーLi-S二次電池の創造
(ADEKA)撹上 健二
Cセッション
- 伸縮性フィルム REACTIS®
(東レ)三羽 規文 - Graft Onto型ポリマーブラシによる超親水性表面に関する研究と社会実装例
(大阪有機化学)猿渡 欣幸 - NANOALLOY®技術による新規高制振ポリアミド樹脂の創出
(東レ)長尾 達希 - ピロガロール-バニリンカリックスアレーンを用いた再成型性バイオベースポリウレタンネットワークの作製と物性
(千葉工大院工)阿部 樹 - 光重合性ディスコチック液晶を利用した多孔性高分子膜によるイオン性色素のサイズ選択的分離
(埼大院理工)大野 宰
Dセッション
- 可逆架橋を用いたリサイクル可能なジエンゴムの開発
(ブリヂストン)小齋 智之 - 水により疎水化する親水基を利用した水硬性高分子の開発
(科学大物質)徳満 玲伊 - レーザーラマン顕微鏡を用いた生分解性プラスチックの微細構造分析
(ブルカージャパン)足立 真理子 - セルロースナノファイバー強化PP複合材料における相容化剤のナノスケール分布の可視化
(産総研機能化学)神内 直人 - 分子スケールの性質を考慮した高分子系の相分離構造予測
(三井化学)尾崎 弘人 - Silica微粒子複合エラストマーの伸長過程における内部構造の変化とSEM観察
(名大院工)伊藤 香凜