第35期会長に就任して
持続的で豊かな未来社会創造に貢献する高分子科学

 

 第69回定時代議員総会、および理事会(6月10日開催)においてご承認いただき、第35期高分子学会会長に就任いたしました。大変光栄に思うとともに、社会的に緊迫した状況下での船出に、身の引き締まる思いと責任の大きさを実感しております。
 高分子学会は、世界で最も大きな高分子科学の学会として、先人のたゆまぬ努力により、学術・技術・社会の発展に大きく貢献してまいりました。一方で、近年は、学術、産業的に諸外国の追随が厳しい現状もあります。
今期は創立70周年という節目を迎えます。高分子科学は、今後も時代を革新する重要なキーサイエンスであることは間違いありません。持続的で豊かな未来社会創造に貢献するために、世界を牽引する魅力ある学会であり続けるように、努力してまいりたいと考えています。

第35期 高分子学会 会長
秋吉 一成

 
 

科学技術・イノベーション創出へのジャパンモデル

   創立60周年の際に「持続成長可能な社会実現に向け貢献する高分子学会」という学会ビジョンが掲げられ、さらに、第33期中條会長の下で「未来宣言2017」が提言されました。持続可能な開発目標への貢献(SDGs)に向けて、三つの融合(Integration)(知力の融合、マテリアルの融合、人材の融合)が重要であり、それらを具現化する20項目のアクションプランが提案されました。

 一方、国内では、超スマート社会(Society 5.0)の実現に向けた第5期科学技術基本計画に続き、来年4月から開始される第6 期科学技術基本計画策定に向けての議論が行われています。人文科学を含む科学技術の活性化およびイノベーション創出の活性化のあり方において、大学の責務、人的資本への大胆な国家投資、技術革新予算の拡大などの重要性が指摘され、人間中心の科学技術政策と日本らしいイノベーションモデル(ジャパンモデル)の提示が唱えられています。

 今期はこれらの提言をふまえ、大きく変動しようとしている社会において、学会として何をなすべきか、何ができるのかを考え、さまざまな課題に対して、以下に示すプラットフォームを充実したいと考えています。
 
 

超スマート社会における交流プラットホーム

  学問分野、産官学、年代構成というきわめて多様性のある学会員間の新しい出会いと絆を結ぶ、実りある場を提供することが学会の大きな役割です。このような人材の融合によりさらなる発見と独創性を育くむ場として、三大行事(年次大会、討論会、ポリマー材料フォーラム)は重要です。とくに、今期は直面する現状を鑑みて、学会員の交流のあり方として従来とは異なる新しいプラットホームを構築する必要があります。
WEBを最大限活用して、世界とも繋がる、今までにない新しい学会行事運営を検討し、そのための新しい環境システムの整備を推進いたします。

 
 

戦略的連携推進、世界情報発信プラットフォーム

 世界を牽引してきた日本の高分子科学分野をさらに飛躍させるためにも、アジアや欧米研究者との緊密な絆を築き、日本発の優れた高分子科学研究・技術の情報発信が重要と考えます。Polymer Journal の発展、国際化、国内外の他学協会との合同シンポジウムの開催、ICTの活用などに努めます。また、イノベーションの創出には、産官学連携が不可欠です。高分子同友会、さらに産業界と繋がりが深い8支部と21研究会とも連携し、学界と産業界の会員間での実のある交流プラットフォームを構築します。とくに、刷新された学会ホームページ(HP)、および、機関誌高分子を活用して、産学連携促進、情報発信のための新しいコンテンツを企画します。
 
 

次世代&グローバル人材育成プラットフォーム

 多様性と柔軟性をもちグローバルな視点を有する人材や次世代研究者の育成は重要な使命です。好評なWebinarや学会講演会の充実化、男女共同参画事業、HPによる教育コンテンツの企画などを推進します。また、高分子科学の魅力と重要性を社会にアピールする広報活動、市民講座の開催、メディアへの発信を積極的に行います。とくに、中高生を始めとする若い世代と会員を繋ぐ教育プラットフォームとして確立しつつある高分子未来塾をさらに発展させてまいります。
 
昨今の状況は社会そして学会運営に大きな変化をもたらしています。皆様との対話と絆を大切にし、事務局と協力しながら努力してまいります。今後とも、ご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。

 
秋吉 一成 / Kazunari AKIYOSHI
京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻,教授,工学博士.
[略歴] 1985年九州大学大学院工学研究科博士課程修了,工学博士.長崎大学工学部講師,京都大学工学部助手,京都大学工学研究科助教授,東京医科歯科大学生体材料工学研究所教授を経て,2010 年京都大学工学研究科教授.