白川英樹博士のノーベル化学賞受賞について

平成12年10月11日

(社)高分子学会

白川英樹博士のノーベル化学賞受賞に寄せて

 高分子学会はこの度の白川英樹博士のノーベル化学賞受賞を日本の高分子科学者の成果が世界的に認められたものと受け止め、会を挙げてその栄誉をたたえ祝意を表します。

 白川博士のポリアセチレンの合成とそれへの不純物添加(ドーピング)による導電性ポリマーの発見・開発の業績は、それまでポリマーは絶縁体であるとの常識を覆し、導電性をもつポリマーの存在を世に示したもので、その後の高分子科学・材料科学に与えたインパクトは多大であります。その結果として、今日の多くの高分子導電体・有機導電体の出現を促し、さらには新しい世紀へ向けて高度な機能性ソフトマテリアルの出現が期待されます。我が国では導電性ポリマーの研究は予ねて通産省が次世代基盤技術のひとつとして進推してきたところであります。

 数年前より日本学術会議および高分子学会は高分子科学の新しい展開を目指し基礎研究体制の構築を提言してまいりました。その結果、高分子基盤技術研究センターが工業技術院の改組に伴い設置される運びになるなど、高分子科学技術の研究体制強化が進んでおります。白川博士の受賞はその矢先のことであり、本会にはとってひとしおの喜びであり、意を強くしたところです。

 今回のノーベル賞がポリマー・材料という身近なところでの業績であると同時に、日本が世界をリードしうる分野として化学分野・材料分野の存在が改めて示されたことは、科学技術創造立国を目指す我が国にとって大きな意義があります。

今回の受賞が国民レベルでの科学技術への意識をさらに高めるとともに、とくに若者そして若い研究者に夢を与えるものと期待しております。高分子学会は、今後ともアカデミアの立場から高分子科学・技術を通して人類と社会への貢献に努めたいと考えております。

(以上)